会長挨拶
NPO法人ここからねっとのホームページをごらんいただきありがとうございます。
会長の鹿島 直之と申します。町田にあるメンタルクリニックの「町田まごころクリニック」の院長です。
現代の日本ではうつ病の増加が問題となっており、日本の自殺者数は先進国の中でも群を抜いております。さらに、若年より社会参加を避け、自宅にこもって過ごすひきこもりの方が年々増えており、その数は数十万人にも達するという推測すらあります。病んでいる現代人に向かいあう精神医療といえば、薬の大量投与や、薬物療法に偏った治療が社会問題化し、マスコミによってその問題点を追及されることが多くなってきています。いまだに現代社会は、増加するうつ病やひきこもりに対し、適切な手立てが見つけられず、それを模索しつつある段階にあると言っても過言ではないでしょう。
そういった現状において、今回カウンセリングのNPO法人ここからねっとの設立は極めて時宜にかなった、有意義なものであると思います。「ここからねっと」の設立者である池亀先生は「町田まごころクリニック」のカウンセラー主任でもあり、とても優秀なカウンセラーです。池亀先生によって具合が良くなった患者さんは数知れませんが、優秀なばかりか、心病む人を助けたいという情熱も人一倍の方なのです。また、このNPOに参加するカウンセラーの多くは、「町田まごころクリニック」に所属するカウンセラーですが、誰もが池亀さんと同様、優秀で情熱があり、私が日頃から尊敬する方たちです。そして池亀さんを含め、このNPOの参加者のほぼ全員に、特筆すべき共通点があるのです。それはかつて、心身の調子を崩した経験があり、それを乗り越えているからこそ、病む人を助けたいという情熱に燃えているということです。
患者さんの気持ちはかつて患者さんであった人にこそ、よく理解されるものです。NPOに参加するカウンセラーの患者さんの心への寄り添い方を見ていると、しみじみとそう感じさせられます。カウンセリングを受けた患者さんのほとんどが、楽になれ、元気づけられていくからです。
心身の不調を乗り越えた経験を生かし、変わりたい、よくなりたいという患者さんの気持ちを人一倍理解し、援助することができる彼らの今回の試みこそが、現代人の心の問題の解決に一石を投じるものと信じてやみません。